保険金不払いになる構図

保険金不払いになる構図とは?

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第一生命保険で不当な保険金不払いの事件が発覚した後、金融庁は国内すべての生命保険会社38社に調査命令を出しました。それは、2001年〜2005年までの延べ5年間における保険金不払い件数・金額についての調査です。結果は、生保業界全体では25万件、約290億円もの甚大なものでした。

 

保険金不払いになる構図とは?

 

過剰に複雑化した保険商品

 

2008年8月、大手生命保険会社10社による業務改善計画が、金融庁に提出されました。内容は、保険金不払い問題が再発しないための防止策を織り込んだものです。再発防止策の中で、不払いの原因として、保険商品が非常に複雑で細分化してしまったことを挙げています。新規契約優先の営業で、既存の契約はなおざりにする営業姿勢も問題でした。

 

その結果、保険会社が保険金の請求を忘れたり、契約者が請求を忘れていても放っておかれたことを指摘しています。これらの対策として、契約者への請求案内を密にすること、商品そのものを簡素化すること。また、営業職員による契約後のフォロー体制の強化、支払いもれ防止のシステム作り、内部監査体制の充実をはかることを列挙しています。

 

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生保会社収益の1つ“死差益”の減少

 

しかし、外部の専門家による分析の意見はこうです。保険金不払い事件の背景には、バブル崩壊による低金利と、多額の逆ザヤ問題が根底にあると言っています。まず、生命保険会社の主要な収益は3つあります。このうちの1つの利差がマイナスになり、更に保有する契約数の減少による費差益も悪化します。

 

そして、経営上の大きな問題として「死差」の確保が浮かび上がってきました。死差益を増加させるには、支出である保険金の支払いを滞らせるのが一番手っ取り早いのです。具体的な方法として、保険会社が契約者に対し、ことごとく告知義務違反を指摘します。そして、告知義務違反による不払いとみなしたのです。

 

 

特約条項を分かりやすく簡潔に

 

そして、それぞれの生命保険会社では、複雑化した保険商品を簡素化する見直し始めます。2008年10月には、日本生命保険が、契約者の死亡保険に付加される医療特約を大幅に簡略化します。保障内容に応じて6種類に分かれていた、入院・通院・短期入院などの特約を1つにまとめ、商品内容を単純にしました。

 

保険金の不払いをなくすには、契約者にも分かりやすいことが重要ですから。4日間程度の入院の場合、「短期入院特約」を付加しなければ保障しないのが従来のやり方です。これを、契約者すべてが、入院1日目から保障されるように条項を変更しました。そのほか同時期に、太陽生命保険は実質的に特約を全廃します。他の保険会社でも「通院特約」などを廃止し、支払いもれを極力少なくするよう努めました。



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